ファッション考察

【メンズ】ユニクロだけでトレンドファッションのコーデは出来るのか【経営学】

“ユニクロ=おしゃれ”というイメージが世間に受け入れられたのは、ここ最近の事でしょうか。服が好きな人であれば、誰しもユニクロを着たことがあるかと思います。

よくSNSなどで”ユニクロで最旬トレンドコーデ”なるものを見かけます。そこで、今回はユニクロだけでトレンドのファッションは作れるのか考えていきます!

もちろん、おしゃれ=トレンドという解釈ではありません。

目次

トレンドとは

まず初めに、トレンドについて定義していきます。ファッションのトレンドとは以下の4つに分類されています。

インターカラーと呼ばれる団体が2年前に流行色を決めています。加盟国を代表する色彩情報団体で構成されており、ここで2日間の協議で国際流行色を決めます。

その後、日本では”日本流行色団体”が国内市場に合わせてトレンドカラーを発信します。

素材

色の方向性が決まったら、次は素材です。素材とは糸と布地です。厳密にいうと布地は糸で出来ているので糸から布地の順番です。

流行色が決まってから約半年後に糸の展示会の布地の展示会が開かれます。ここで各デザイナーなどは素材を確認しながら落とし込んでいきます。

デザイン

各デザイナーが流行りの素材などを使って独自のデザインを仕上げていきます。そうして仕上がった服が、パリ、ミラノ、ニューヨーク、東京などのコレクションで披露されます。

流行から外れた素材は生産数が少ないので、コストが高くデザイナー自体もあまり選べないようです。

~各媒体から、私たちのもとに発信~

各コレクションが発表されるのが、実際にシーズンを迎える前の約半年前です。

それと同時にVOGUEなどのメディアから新作トレンド情報がどんどん発信されます。そして、その後にコンビニなどでも買える身近な雑誌で情報が発信され私たちの所におりてきます。

これが、トレンドが作られる流れです。トレンドとは勝手に生まれるわけではなく、何年も前に決められていたんですね。果たして、ユニクロはトレンドとどう向き合っているのでしょうか。

ユニクロのマーケット戦略

皆さんご存知の通り、ユニクロはすべての商品を自社工場で作っています。ユニクロのように自社工場で作り、自社で売るSPAという方法を取っています。

普通、小売りのイメージとしては、メーカーからバイヤーが仕入れ店舗で販売する流れですが、SPAはすべて自社のみで完結するのでコスト面でも有利になります。

また、市場の需要を汲み取り、生産するまでのスパンが短いのでより市場のニーズに合ったものを作ることができます。

SPAのメリットとデメリット

メリット

SPAのメリットとは前述の通り、市場のニーズを汲み取り生産するまでの早さです。作り手と売り手が一緒なので、生の声をそのまま商品に反映させることが出来ます。

逆に、一般小売の場合、店頭で受けとる生の声を生産に生かすことは出来ません。そして、メーカーは販売店を持たないので生の声を聴くことが出来ません。

そういった意味でSPAの最大のメリットはこの部分にあると思います。

デメリット

やはりSPAも良いことばかりではありません。SPAは基本的に市場に寄り添った考え方です。つまり“マーケットイン”です。

マーケットインとは出来上がった市場に合わせて商品を作る考え方です。つまり、最初から需要のある物とわかってから作るという事です。

ラインナップとしては可もなく不可もない、日常で使いやすいアイテムが増えます。そして、マーケットインで商品を作ると、商品の類似化が起きます。

マーケットインによる商品の”類似化”

なにもSPAを行っているのはユニクロだけではありません。GAPやZARA、H&M、無印良品などもそうです。つまり、各ブランドで市場のニーズに答えようとすると商品の類似化が起きます。

そして、類似化の次に起きるのが価格競争です。消費者としては、同じような物だったら安い方が良いですよね。そうして価格崩壊は起きるのです。

ユニクロの差別化戦略

価格競争には限界がありますので、価格以外の差別化が必要になってきます。ZARAやH&Mは、顧客ターゲットをセグメント化して他と差別化しています。

ではユニクロはどのように差別化を行ったのでしょうか。

素材

まずは素材です。ユニクロは素材を自社で開発しています。自社で開発すると中間マージンが抑えられるのでコストが安くなります。

正直、カシミヤのセーターがあの値段で買えるのは自社でカシミヤを作っているからです。他では考えられません。また、素材をストックしておくことが出来るので、よりスピーディーに商品を生産することが出来ます。

機能

皆さんは、ユニクロのCMを見たことがありますか?ユニクロは商品単品のCMではなく非常に動きの多いCMだという事に気づきませんでしたか?ユニクロは、あのCMで潜在的に機能性を視聴者に刷り込んでいます。

デニムなのにストレッチ性バツグン。持ち運びに便利なウルトラライトダウン、寒い日のインナーはヒートテック、セーターなのに家で洗えるウォッシャブルセーターなど。

ユニクロはどの商品においても機能性バツグンなんです。

ユニクロの素材研究は計り知れません。ユニクロは他社と差別化をするために、素材を開発し”安価なのに良質、機能性バツグン”ということを行ったのです。

トレンドの収束は2種類ある

流行りというのはいずれ過ぎ去るもの。その過ぎ去り方には2種類あります。

1つ目は、流行り過ぎて、逆にその格好またはアイテムを身に着けてると恥ずかしい、古いと思われ,、誰もしなくなり消える。

最近の去った流行

・ツバ広ハット
・スカジャン

2つ目は、その流行りが大衆に定着し定番となって収束する。

最近定番化したファッション
・ワイドシルエット
・MA-1
・ノーカラー
・丸眼鏡

トレンドを追うのは非常にリスクがあります。トレンドの物を作って、流行が去ってしまっては誰も見向きもせず売れ残ってしまいます。

しかも、ユニクロ規模になると1品の生産量は何10万着の世界です。トレンドが”消える“のか、”定番化“するのか、いち早く察知し見極めることが大切です。

ユニクロは”マス”ファッション

前述のSPA云々を見ればお分かりの通り、ユニクロはマス市場を狙った衣料品店です。つまり、極論ではありますがユニクロに並んでいれば所謂“定番品”ということになるのではないでしょうか。

もちろん、個人の感覚で、「これはトレンド品だ!」「これは定番品。」「こんなデザインもう古い!」などあると思います。ここでの”定番品”というのは多数決的な意味合いです。

ユニクロだけでトレンドファッションは出来るのか

話はだいぶ逸れましたが、結論です。

ここまで来たらもうお分かりの通り、ユニクロだけでトレンドファッションは作れません。ユニクロの強みは定番品(マーケットイン)にあります。

価格・質・機能と3拍子揃っています。元を正せば、皆さんがユニクロを利用する理由はここではないでしょうか。

安くて良質な、使いやすい商品が手に入るという事です。

今はトレンドを発信できる時代

今やSNSで一人一人が個性を発信できる時代です。簡単に情報を仕入れ、マネすることもできます。

インスタグラムで見たおしゃれな人が、ユニクロを着てたら欲しくなりますよね。

そういった意味でも、このマス市場が大きくなっていく要因の一つだと思います。そして”情報のマス化”はこの先も避けられないと思います。